競馬の斤量の影響はどのくらいあるの?見方を徹底解説!

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競馬のレースには
出走馬全頭が同じ斤量を背負う『定量戦』
能力差を均等にするための『ハンデ戦』
の2パターンがあります。
(獲得賞金賞金によって斤量が変わる
『別定戦』などもあります。)

ただ、同じ斤量を背負っていても
馬体の大きさや牡馬・牝馬の違いによって
その影響は馬によって変わることが多く
競馬の予想をする上で
重要なファクターであることに
間違いないでしょう。

そこで今回は、
その斤量が競馬のレースで与える
影響の大きさについて
解説していきたいと思います。

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競馬の斤量を理解する!どんな意味があるの?

出典:http://sokorace.blog.shinobi.jp/

競馬新聞などで
ハンデ戦においては
注目することが多い『斤量』ですが、
意外とその内容については
知らない人の方が多いのでは
ないでしょうか?

そこで今回は、
普段なかなか取り上げられない部分に
注目して見ていきたいと思います。

斤量の決め方は?

ここでは斤量の決め方を
大きく2つのポイントに分けて
見ていきましょう。

まず1つが
『出走メンバーの中で最も強い馬を決める』
といった目的のレースで使われる方法で、
一般的に『馬齢重量戦』『定量戦』
がこれに当てはまります。

『馬齢重量戦』とは、
過去の成績に関係なく『馬の性別と年齢のみ』
で負担重量が決められるレースのことで、
同一年齢の馬だけで行われるレースで
使用されます。

主に3歳のクラシックレースや
そのトライアルレース、
そして下級条件戦がこれに当てはまります。

『定量戦』とは、
『レースごと』に負担重量が決められる
レースのことを指し、
馬齢重量戦以外のGⅠレースは
基本的に定量戦で行われます。

もう1つの斤量の決め方が、
『出走馬の能力差を斤量によって少なくし、
全てのメンバーに勝つチャンスを与える』
といった目的のレースで使われる方法で、
『別定戦』『ハンデ戦』
これに当てはまります。

『別定戦』とは、
馬の性別と年齢によって決められた
基準重量に加えて、
その馬の『獲得した賞金額』や
『過去に勝利したレースのグレード』
によって重量が加算されるレース
のことです。

古馬のGⅠの前哨戦などは
主に別定戦で行われることが多いです。

『ハンデ戦』とはその名のごとく、
ハンデキャッパーの判断で
負担重量に差をつける競争のことを指し、
全ての出走馬が同じタイムで走ること
を目的としたレースです。

ローカルの競馬場で行われる重賞などに
比較的多い傾向にあります。

次は、その斤量の調整の仕方について
見ていきましょう。

 斤量の調整の仕方は?

出典:https://www.pinterest.jp/

斤量の調整の仕方には
様々な方法があります。

牡馬と牝馬の能力差を
埋めるために決められている
『セックスアローワンス』
と呼ばれる2キロの斤量差が代表的です。

また、北半球と南半球で生まれた馬は
出産時期が半年ほどズレており、
その『成長差』を埋める際にも
斤量の調整が求められています。

さらに、
『デビューから5年未満で、100勝以下』
の若手騎手にはそれぞれ勝利数に応じた
減量特典(マイナス1~3キロ)
が設けられています。

2017年9月30日のレースに出走した
南半球産の3歳馬カスタディーヴァ
という馬に3キロの減量特典がある
藤田菜七子騎手が騎乗したことで、
滅多に見られない47キロという斤量での
出走が認められたのはJRAにとっても
意外と盲点だったのではないでしょうか。

次は、その『騎手』の体重について
見ていきたいと思います。

 騎手の体重

ジョッキーの体重は
平均的に50キロ前後と言われており、
もちろんその中には45キロ前後といった
非常に体重の軽い騎手もいます。

ハンデ戦では最も軽いハンデとして
48キロが設定されており、
このハンデで騎乗できる騎手は
かなり限定されることからも、
騎手というのは体重管理に対して
非常に神経質になっているのは
間違いないでしょう。

指定された斤量をオーバーして
レースに出走した際はペナルティーとして
騎乗停止処分を受けてしまい、
同時に調教師や馬主といった
関係者の信頼を大きく失ってしまうことで
今後の騎手生活にも大きく影響
してくるだけに、

競馬において騎手の体重は
非常に大きな意味を持つのでは
ないでしょうか。

では、騎手が騎乗した際の『重さ』は
どこで調整しているのでしょうか?

重りはどこに付ける?

パッと見ただけでは分からないですが、
馬が背負う斤量を調整する重りは
どこにあるのでしょうか?
また、どのような場所に
付けられるのでしょうか?

レースで決められた斤量に対して、
騎手の体重を引いて不足している分は
『板状の鉛』を使うことで
調整しています。

その重さの差が大きいものであれば、
馬の背中に置いている『鞍』の中
大きめの鉛を入れることが多いですが、
その差が小さいものであれば、
騎手のプロテクターやズボンの中
といった場所に鉛を入れて
調整することもあります。

非常に細い4本の脚で
騎手の体重に加えて鉛まで背負って走る
サラブレッドの姿には
本当に頭が下がる思いです。

競馬の斤量の影響!関係ある?関係ない?

出典:http://babatenkai.com/

常に50キロ以上の斤量を背負って
レースを走っているサラブレッドですが、
その斤量がレースに与える影響は
どれくらいのものでしょうか?

斤量など全く関係ないような走り
を見せる馬もいれば、
いかにも重い斤量が関係して負ける馬も
多くいるだけに、
ここでは実際に斤量が競馬に与える
影響の大きさを項目に分けて
見ていきたいと思います。

斤量1キロ=何馬身?

一般的に、斤量1キロは『1馬身』
と言われていますが、
現在の日本競馬においてその考え方は
正しいとも間違っているとも言い切れない
のは事実でしょう。

仮に1馬身差の能力差がある2頭が
同じレースを走ると仮定しても、
その時の斤量が何キロかによって
その影響力は大きく異なり、
50キロと51キロ、59キロと60キロでは
明らかにその1キロの差が異なるのは
誰の目に見ても明らかでしょう。

斤量においては、
次に紹介する『タイム』で考える方が
正確性がありそうですね。

タイムへの影響

一般的に、1馬身の着差が『0.2秒差』
と考えられていることを参考にすると、

『斤量1キロ=1馬身=0.2秒』

といった図式が成り立ちます。

つまり5キロの斤量差がある2頭の馬の間には
1.0秒の能力差がある、
と考えることができると思います。

実際の競馬においては
展開や枠順などが大きく影響してくるため
ここまで単純な結果にならないことが
多いですが、
ハンデ戦などにおいてはその馬の能力を示す
『持ちタイム』から能力差を考える際には
非常に有効な考え方とも言えそうですね。

距離別による影響

斤量が与える影響というのは、
短距離に比べて『長距離』の方が大きい
と言われています。

短距離戦の方が斤量の影響が強く出る前に
レースが終わってしまうことが多く、

逆に走る距離が長くなれば
その分斤量の重い馬ほど
スタミナをロスする可能性が高くなり、
斤量の軽い馬が楽に前に行ってしまうと
そのまま粘りこんでしまう、

といったレースが何度も繰り返され、
過去の歴史もこの傾向を証明している
と思います。

斤量の差が大きいハンデ戦で
高配当を狙うなら
『長距離戦での軽ハンデの先行馬』
を狙うのが有効だと思います。

次は斤量が競馬に与える
有利・不利に関して考えていきましょう。

斤量の有利不利

斤量がレースに与える影響で最も大きいのは、
『トップスピードに乗るまでの時間』
だと思います。

もし同じくらいの能力を持った馬が
同じ位置からラストスパートをしたとして、
斤量の軽い馬と重い馬だったら
どちらの方がスムーズに加速できるかは
一目瞭然でしょう。

さらに斤量の重い先行馬が
外枠を引いてしまった場合においても、
加速するまでに時間がかかることを考えれば
展開面で大きな不利を受ける可能性が高く、

『斤量の増加に比例して
不利を受ける可能性も高くなる』
ということは頭に入れておいた方が
いいでしょう。

斤量による回収率には差がある?

では斤量の差における回収率の差は
どれくらいあるのでしょうか?

基本的にハンデの重い馬は
『上位人気馬』であることが多く、
回収率の面で見れば
あまりおススメできる存在と言えないのは
事実でしょう。

しかし、『重ハンデ』と言われる
58キロ以上のハンデを背負った馬は、
そのハンデが嫌われて
人気を落とすことが多いにも関わらず、
基本的には『能力上位馬』であることから
馬券的な旨味が発生することが多い面
があるのもまた事実です。

これまで過去の
ハンデ戦における回収率も示しているように、
『重いハンデが嫌われた人気落ちの馬』
というのは積極的に買っていくべき存在
と言っていいかもしれませんね。

競馬の斤量の最大はどのくらい?

出典:http://www.jra.go.jp/

まず最初に答えを言ってしまうのであれば、
最大斤量に関しては決められてないのが
現状です。

ただ、近年のハンデ戦では
障害戦を除けば最大でも59.5キロ
までで収まることが多く、
日本の競馬においては
60キロ以上の斤量を背負って走る馬は
非常に少なくなっています。

2006年の札幌日経OPのコスモバルク
2005年のカシオペアSでイングランディーレ
62キロを背負って出走したこともありましたが、
これはかなりのレアケースと言えるでしょう。

この背景には、
1978年の日経新春杯で海外遠征前のレース
として出走した当時の最強馬テンポイント
66.5キロの酷量を背負って出走した結果、
レース中の事故からその後息を引き取った
という悲しい過去があり、
そこで斤量面の見直しが行われた結果、
最大斤量は『62キロ』と考えても
いいかもしれませんね。

競馬の斤量は馬齢に関係ある?

競馬の斤量はその馬の
『年齢』によって決められるレースも多く、
『同じ年齢の馬同士でのレース』
である『馬齢重量戦』
これに当てはまります。

ここでは牡馬と牝馬に分けて
見ていきましょう。

牡馬は2歳の9月までは54キロ、
10~12月までは55キロの斤量を背負い、
3歳の9月までは56キロ、
そして3歳10月以降は57キロが指定重量
となります。

牝馬に関してはもう少し緩やかな条件
となっており、
2歳時~3歳9月までの馬齢重量戦では
一律で54キロを背負い、
3歳10月以降は55キロが指定重量
となっています。

この斤量は
『馬の成長』を考慮した上で決められており、
個人的には非常によく考えられた
素晴らしいシステムだと思います。

競馬の斤量・新人ジョッキーは優遇される?

出典:http://blog.jra.jp/school/

上記でも一部説明しましたが、
競馬のレースにおいて
『デビューから5年以内』であり、
『通算勝利数が100勝未満』
の騎手には平場のレース限定で
1~3キロの減量特典があります。

出走表の騎手欄の名前の前に、
▲、△、☆のマークがついているのを
目にしたことがあると思いますが、
それぞれ順に指定された斤量から
3キロ減、2キロ減、1キロ減
となっています。

特にダートの短距離戦などにおいては
スタート直後のダッシュ力が
結果に大きく影響することが多く
そこで他馬より3キロも軽いのは
かなりのアドバンテージと言えるでしょう。

まだ技術的に未熟な新人ジョッキーが
同じレースでベテランと互角に戦う上で、
個人的には積極的に狙ってみても
面白いと思います。

まとめ

それまでは何となく

『斤量が軽い=有利』
『斤量が重い=不利』

といった漠然としたイメージでしたが、
こうやって項目別に詳しく見ていくと
必ずしもそういった単純なものではない
といったことが理解できると思います。

もちろん競馬のレースにおいては、
出走馬の中で『一番強い馬』を決めるのが
目的の一つなのは間違いないと思いますが、
こういった斤量の影響で能力差を逆転して
『下克上』が起こるのも
また競馬の面白さの一つだと思います。