競走馬の骨折の治療! 復活できなければどうなるの?

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競走馬は生き物のある以上、
病気やケガをすることもあります。

ケガの中でも発症する割合が高く
時には命に関わることもある
職業病とも呼べる疾病の1つが骨折。

今回は

競走馬が骨折するとどうなるのか?

という事に注目。
予後や治療法について、ご紹介していきます。

走る芸術品と言われるサラブレッドにとって
骨折を発症すると、どんな問題が
起きる可能性があるのでしょうか?

競走馬の健康に大きな影響を及ぼす
骨折について、見て行きましょう。

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競走馬が脚を骨折すると命に関わるの?

時速60kmで走っているサラブレッド。
走行中は1本ずつ脚が着地しているのですが、
この着地の瞬間に脚にかかる衝撃は
1トンにも上ると言われています。

そのため、骨や腱に故障を発生する馬も
少なくありません。

骨折や腱を痛めた場合、治療で完治する
ケースも多いのですが、程度によっては
治療が難しい場合があります。

そうなると、馬が苦しみながら
徐々に弱っていくことになるので、
予後の見通しが極めて悪い馬に関しては、
安楽死の処置がとられることもあります。

馬が骨折したらボルトで固定して治療する

競走馬が骨折したら治療方法は
人間と同じように、

  • ギプスで固定するだけの保存療法
  • 手術による外科措置

大きくこの2つに分けられます。

競走馬に対する医療技術もどんどん
進歩しており、重度の骨折の場合でも
ボルトで固定することによって

一命をとりとめたり、競走馬として
復活できたりする場合があります。

ボルトで固定するような重度な骨折を
発症しながらも、G1勝利を挙げた
馬としては

冒頭の動画でもご紹介したアドマイヤコジーンや
香港でも勝利したハットトリックなどがいます。

残りの脚3本に負担となるので蹄葉炎を発症することがある

骨折が競走馬の命に関わると言われる
要因の1つとして、骨折の影響で
蹄葉炎という病気を発症する
リスクが高くなることがあります。

蹄葉炎

蹄の内部に炎症が起こる疾病

普段は約500kgの体重を4本の脚で
支えていますが、骨折によって3本の脚で
自身の体重を支えていると、
健康な脚にも負担がかかってきます。

その際に、骨折した脚ではない脚に
蹄葉炎を発症するケースがあるのですが、
発見が遅かったり、重症になると
立っていられないぐらい痛い疾病だと言います。

特に馬は前脚6割、後脚4割で重心を
保っているので、前脚を骨折した場合に
反対の前脚が蹄葉炎になることが
多いようです。

蹄葉炎が進行すると、

ひどい場合は蹄が落ち、激痛を伴う

そうなると、地面に脚を着くことが出来ず、
馬は、横たわるようになります。

しかし、馬は元々、長時間
横たわって眠る動物ではありません。

500kgの体重を薄い皮膚で支えるので
人間でいう床ずれにすぐになり
横たわる事も難しくなってきます。

立つのも横たわるのも厳しくなると
どんどん衰弱して、死に至るので
蹄葉炎は馬にとって、大きな問題となります。

骨折が原因の場合は予後不良であることも少なくない

開放骨折や粉砕骨折といった重度の
骨折を発症した場合、先ほどご紹介した
蹄葉炎を併発する可能性が極めて高くなります。

重度の蹄葉炎の痛みとの戦い、
床ずれによる皮膚の劣化は
馬の心身を顕著に衰弱させ、
かなりの苦痛を伴います。

そのため、重症な骨折の場合は
回復が極めて困難と判断され、
予後不良と診断されることになります。

予後不良となって薬殺されるケースもある

予後不良とは、回復が極めて困難なため
安楽死の処置が妥当という獣医師の診断です。

獣医師から調教師に診断結果が伝えられ
最終的にはオーナーの判断で
安楽死の処置がとられることになります。

現在は薬の投与による薬殺で
安楽死が行われていて、安楽死の処置をされた
馬が馬肉として市場に出ることはありません。

アクシデントによって安楽死の処置が
とられた馬については、こちらの記事も
ご覧ください。
⇒競馬で落馬すると安楽死になる?実際になくなった名馬一覧

骨折しても復活することもあるの?

競走馬が骨折するとすべてのケースで
予後不良と診断されるわけではなく
レースに復活する馬も少なくありません。

トウカイテイオー

1991年の春2冠を制した後に、骨折が判明。その後も現役中に2度の骨折を発症するも、ジャパンカップ、有馬記念に優勝。

オジュウチョウサン

障害重賞6連勝を達成した2017年の中山グランドジャンプのレース後に骨折が判明して手術。復帰後も連勝は止まらず、重賞9連勝、JG1・5連勝にまで記録を伸ばし、平地に参戦。

骨折後も変わらぬ能力を発揮した
2頭をご紹介しました。

JRAでは年間1000件以上、骨折が
確認されているようで、無事に
ターフに戻ってくる馬も多くいます。

まとめ

今回は、競走馬が骨折した場合の
治療や予後についてご紹介しました。

治療の方法としては、人間と同じような
ギプスと手術なのですが、生き物としての
馬の性質上、命に影響を及ぼすこともあります。

安楽死の処置については賛否が分かれる
事象ですが、

医療の進歩によって、過去には
救えなかったような重症でも
命をとりとめたり、競走馬として復活できる
ケースも増えてきています。

とは言え、命を懸けてレースに臨んでいる競走馬。
競馬を見る際には、全頭が無事に
完走できるように祈ってみてください。